休館日の10月11日に開催されたイベント東山旧岸邸伝統芸能講座現代能「月の舞」についてご紹介します。
当日は連日の雨模様が嘘のように、前日午後の準備段階から晴天となりました。
お客様は、まずとらや工房にてお食事を召し上がって頂きました。
湯本富士屋ホテル様に「月」をイメージして特別にご用意頂いたお食事です。
お料理の断面が満月のように見えたり、随所に「月」を感じる内容で一品一品丁寧に上品に仕上げられています。ボリュームも満点で、みなさま歓談されながらお食事の時間を愉しんでいただけました。
その後は休憩を挟み、場所を東山旧岸邸の庭園に移しお能の鑑賞です。
夜の部では御殿場市内の高校生がお手伝いをしてくれました。
(上記写真2枚 撮影:梅若ソラヤ)
演目前半ではお着物、後半は白いドレスでの現代能でした。
既存の能楽堂ではない、手づくりのお能舞台を前にみなさま真剣に鑑賞されていました。
囃子方の近くの席は珍しく、間近で音を聞きながらの演目を愉しんで頂けたようでした。
衣装替の場面では、特別につくられたとらや工房のお菓子が振舞われました。
さらにお茶は荒井園様の特別なほうじ茶です。
茎の部分を使用した通常用意の無いほんのり甘く香りのよいお茶です。
お菓子は「月の舞」と名付けられ中餡は白小豆の小倉餡、求肥は黒糖で練ったものです。
飾りにレモンピールの蜜漬けをあしらえています。(レモンは飾りのみ使用)
とらや工房の担当者曰く「演目が夏のお話であること、開催は10月であることを考慮して
求肥の少し透き通った感じとレモンを使用しました。風がそよそよと吹き抜ける夏の夜に
上った三日月をイメージし、演目最後には”満月に変わっていた”という部分から
中餡で満月を表現しました。私の思う幽玄と、とらや工房らしく飾り立てすぎないように、
材料や味・形もシンプルにしました」とのことです。
夜の部は海外からのお客様も多くお越しになっていました。
わっぱに乗せられた和菓子セットが登場すると演目中の緊張感がゆるぎ、みなさまあっという間に召し上がられていました。
夜の部では照明の力も遺憾なく発揮され、いつもの岸邸とは違う趣きとなりました。
当日は各回30席から50席に増席し、さらにお能とお菓子を楽しむお菓子席も追加し対応させて頂きました。
県外からも多くのお客様がお越しになり、夜の部では各国の大使もご来館頂きました。
ご参加頂きましたみなさま、ありがとうございました。
夜はまるで「月の舞」を寿ぐかのように白い月が煌々と輝いていました。
東山旧岸邸 伝統芸能講座 現代能「月の舞」
■出演
小屋の主人 梅若 猶彦
旅人 梅若 堯之
笛 藤田 次郎
笛 成田 寛人
小鼓 上田 敦史
大鼓 大村 滋二
後見 梅若長左衛門
作曲・音響 マサタカ・オダカ
■主催 御殿場市東山旧岸邸
■協力 富士屋ホテル&リゾーツ 湯本富士屋ホテル、とらや工房
【おまけ】
東山旧岸邸の繊細な庭園の苔を守りつつ舞台を作るために、ブルーシート、段ボール、パレット、板やコンパネ、そしてウッドカーペットを重ねて準備にあたりました。