東山旧岸邸では、10月10日(火)に、恒例の伝統芸能のイベントを開催し、
今年はお能を取り上げました。
タイトルの「共感する」という言葉には、参加者が観る側から、演じる側へ思いを寄せたり、
特製菓子に込められた物語を想像してみたりと、自然の音を聴きながら、
様々な想いでお能を楽しんでいただきたいと考え設定しました。
■東山旧岸邸
東山旧岸邸では居間を舞台に、喜多流シテ方能楽師・塩津圭介氏を講師に迎え、
どなたも楽しめる体験やクイズを交えて、講座が行われました。
講座中、その場で立って足のハコビを体験したり、手をあげた参加者の方に
面体験をして頂く場面もありました。
また、「高砂」の一部が実演され、庭園のせせらぎの音と地謡の声が邸内に響き渡る中、
迫力あるシテの舞に、参加者の皆さまは息を呑んでいたようでした。
更に、当日は玄関ホールにて能装束が展示され、間近でご覧いただきました。
講座後には、当館で用意した面を自由に手に取って見て頂くなど、盛り沢山の内容となりました。
■とらや工房
とらや工房では、テラスにて特製菓子をお召し上がり頂きました。
この菓子は、演目「羽衣」の内容をもとにつくられたものです。
上層の琥珀羹は海の質感を表現し、中には喜多流の家紋に使用されている
喜多霞にちなんだデザインの羊羹を配しています。
その後、講師による演目「羽衣」の一部が実演されました。
当日はお天気に恵まれ、緑の木々を背景に橙色の衣装が良く映え、
午後のやわらかい風の中、皆さま真剣に舞台を見つめていらっしゃいました。
休館日の静かな空間の中、邸内の講座と、とらや工房のテラスを初めて使用した舞台に
皆さまご満足い頂いたご様子でした。
「能楽堂に行ってみたくなった」というお声を多く頂き、能への見方が変わった方も
いらっしゃったようです。
ご参加の皆さま、どうもありがとうございました。